私たちが生きている世界とは(6)

物欲の世界

 私たちが生きているこの世界の特徴の一つは物欲です。金銭へのあくなき欲求、食欲、性欲、あれも欲しい、これも欲しいと思う商品などなど。

 それは私たちは肉体をもって生きているからです。霊体と違って肉体は物質であり、生きている世界を五官(眼耳鼻舌身)で認識しています。五官は見えるものを物質ととらえます。

 世界に存在するものは物質であるととらえる私たちの感性が物欲につながっています。

 私たちの物欲が、私たちに快感や充足感や喜びをもたらす半面、私たちの世界に犯罪や対立、利己主義といった暗い側面をつくり出しています。
 私たちが生きている世界は、自分の物欲とどう向き合うかが大きなテーマであり、むき出しの物欲をどうコントロールしていくかが自分の人生の評価につながっています。

 物欲は扱い方で人格を大きく損なったり、人との醜い争いを招いたりしています。肉親同士が遺産争いをしている場面をよく耳にします。
 人としての物欲の扱い方を深く考察していく必要がありそうです。

 八十一歳になった私は、若い頃の性的欲求が幻に過ぎなかったように思えています。
 若い頃は、性的欲求は確固とした存在であり、固定化された人間の一部と受け止めていました。

 お金にまつわる生き方だって自分の能力や働きで稼ぐものだという認識で生きています。稼いだ者勝ちという考え方です。
 この考え方が正当だと思っていますから、不正な手段でお金を稼ぐ人たちが後を絶ちません。

 世の中に価値あるものを提供し、その見返りとしてお金が報酬として支払われるという原則で働いている人はまだ少数です。

 私なども自分の能力で、自分の力で稼いだと思いあがっていたほどです。
 その生き方の結果、人生に大きな落とし穴が待っていました。私たちが生きているこの世界の正しい仕組みを理解していなかったからです。

 食欲という欲望も私たちの世界に悪影響を与えている側面があります。現在はテレビにグルメ番組があふれています。美味しいものを求める私たちの欲望を刺激します。

 貧困家庭の子供はどんな思いであのグルメ番組を見ているのでしょう。テレビ局は視聴率という欲望に翻弄されて社旗的影響という側面などないがしろにしているように見えます。

 食べたいものを欲望の赴くままに食べ、飲みたいお酒を好きなだけ飲む。こうした生活は自分の健康を確実に脅かしています。
 与えられた食事を感謝して食べるという日本の風習が廃れているように思います。
 こうした社会はどんなに医学が進歩しても、病人が増える一方のネガティブな世界を現出しています。

 私たちが生きているこの世界の奥に隠されたしくみを学ばない限り、私たちが望む幸せな環境と運命、人生はそう簡単には手に入りません。

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