念の感応する世界
多くの人に経験はあると思うのですが、不安や恐れの気持ちが長く続いた場合、胃が痛くなることがありますね。
これなどは自分の心が身体に症状を現した例です。「病は気から」というのもこのことを言い表しています。
傷口が速やかに癒えたり、あるいはなかなかいつまでもグジグジとして治らない場合も自分の心が感応してると言えます。交通事故などで自分にケガをさせた相手をいつまでもグジグジと責めているとその心に反応して症状を悪化させます。
念は今の心と書きます。今現在発している心が自分の病気や環境、運命と言った人生に影を現していきます。これが「現れは心の影である」という心の法則です。
私たちの生きている世界は、悪をつかむと悪が現れ、善をつかむと善が現れるしくみの世界です。
子供の悪を治そうと思ったら、子供の悪をつかまないでその子供の善い部分、長所を観るように心がけることが大切です。
子供にかぎらずすべての人間関係に現れているしくみです。
もっと突き詰めて言えば、人間の本来性に悪はないのです。この世界の本質は、心の影の現れる世界ですので、悪も善もその時のその環境の中で現れて見えているだけの影に過ぎないと理解できれば、現れは大きく変わってきます。
ある女性の方ですが、三男の子供が大変な子で、自分に暴言を吐いてはお金を無心に来るし、断わりでもしようものなら暴れてそこら中のものを壊すというありさまです。
「この子さえいなければ」と三男を嫌い憎しみさえ感じるほどでした。
あるとき、三男との幼い時からの育て方を振り返ってみた時、ハッと気づくことがありました。
自分が忙しくて、この三男の子育てをうとましく思い、十分な愛情をかけていなかったのです。
「ああ、私が悪かったのだ!」と思い、三男に詫びようと思い三男の家を訪ねました。
どうした訳か三男は「お母さん、よう来た」といつもと違って喜んで迎えてくれたのです。それ以来、三男の態度ががらりと変わり、いままでとは様子が一変したそうです。
その時の自分の置かれている状況に応じた態度が現れているのです。これが本来悪なしの実態です。
特に家族は、奥底で心が通じ合っていますので、自分の家族に対する心が変われば、その家庭に現れている悪しきものは消えていきます。
人生に新たな扉を開き、自分の環境や運命を変えようと思うなら、自分の心に悪をつかまないようにすることが大切な要件です。心は人間関係や環境、身体に大きく感応しています。