まかぬ種は生えぬ
私たちは、自分の身に起こっている出来事や環境をなんとかしたいと思ったら、法則に従う以外ありません。
「原因結果の法則」で自分の身に様々なことが起こっているのですから、それを何とかしたいと思ったなら、まずそれを引き起こした原因を見つけ出す必要があります。
善き結果は、明るく正しい心の持ち方が原因であり、悪しき結果は、自分の心の歪や、醜い思いをめぐらしたり、人に苦痛を与えたりした結果であると理解するべきです。
このことを昔から「まかぬ種は生えぬ」と言われてきました。種も蒔かぬのに作物が生えてくることはありません。大根の種を蒔けば大根が生えてきます。これが法則です。
今の結果をみて、自分がどんな種を蒔いたのだろうかをよくよく見つめてみることが大切です。
幸いなことに原因となった自分の正体を知り、反省し心を正していくならば、今現れている結果もその変化した心に応じて変わっていきます。これもまぎれもない法則です。
ある女性の方ですが、事故により足に傷を負い治療を続けていたのですがなかなか治癒しないのです。いつまでもグジグジしてなかなか治らないのです。そんなときある人から「あなたは事故を起こした人をいつまでも赦さないで心がグジグジしているんじゃありませんか?」と言われたのですね。
その言葉で「ハッと」女性は気づき、想いを改めて事故を起こした人を赦したのです。傷が速やかに癒えたのは言うまでもありません。
もう一つ、悲惨な結果に終わった事例をお話します。
私の知り合いの男性ですが、今からおよそ二十五年ほど前の不景気の真っただ中の時代でした。
彼は新しい仕事を求めて、新聞のチラシ広告に出ていたある運送会社の仕事を行うことにしたのです。その内容は、そこの会社で販売しているパネル車の軽トラックを購入した人に配送の仕事を世話するというものでした。
軽トラックを購入した彼は、仕事の依頼が来るのを待っていたのですが、結局、軽トラックを売りつけられただけで仕事の依頼はきませんでした。
彼の怒りはわかります。彼は相手の会社の面接をした部長に電話をし、「待ってろ!今行ってぶっ殺してやる!」と私の目の前で激しい怒りをむき出しにしていました。しかし、彼の良心が人を殺す選択はしませんでした。
ところが、数か月後、彼のお姉さんから電話があり、「○○は、関越自動車道の側壁に激突して亡くなりました」と連絡が入りました。
私は、彼の激しい破壊的な感情が、事故を引き起こす原因となったと即座に思いました。
一番恐ろしいのは感情です。破壊的な感情ほど恐ろしいものはありません。破壊的な感情は、破壊的な出来事を起こし、暗い感情は暗い出来事を引き寄せます。
これが法則です。私たちはこのよくない現状から抜け出すためには、現在、過去にまたがって悪しき感情をコントロールし、善き感情に変えていく必要があります。
幸いなことに、過去は変えられるのです。心の世界では。
私たちの日常に起こっている様々なできごとは、確固としたものではなく、走馬灯のように、映画のように心の映像を感じ取っているだけなのです。そこに救いの法則が働きます。
過去の自分の心を振り返り、反省し自分を正しい道へ戻すことで、救いが起こります。自分の蒔いた種が結果を出しているのが、今の自分の姿です。これを現象といいます。
現象は、自分の心の影として現れてきます。癌も自分の心の影ですから、自分の心の働きの結果だとわかれば、何も心配する必要はなくなります。間違ったところを見つけて、一つ一つ正していけばいいのです。