私たちが生きている世界とは(3)

現在 過去 未来の真実

 私たちは、過去と現在を生き、次なる未来へ備えて生きていると思っています。
まず過去を考えてみましょう。過去はもう過ぎ去っていますから生きているとは言えないですね。
 過去を生きていけるのなら、昨日、あの人にあんなことを言って傷つけたから、昨日にもどって取り消してこようと生き直すことが出来るはずですが、できないということは、もう過去を生きてはいないということになります。
昨日のことに限りません。ほんのちょっと前でも、もう過ぎ去っていますから生きてはいません。

 未来はどうでしょう。未来はまだ来ていないのですから、当然私たちは未来も生きていません。
 では現在に生きているのでしょうか?現在はいつから現在といううのかも決まっていません。現在という時間の感覚は実に曖昧です。0,00000~01秒でも経てばすでに過去です。
 自分の言った言葉や行いは瞬時に過去になっていきます。つまり、この瞬時前はもうすでに生きているとは言えないのです。過去から現在へつながっているのは、自分の心、思いだけです。

 では、私たちはどの時間を生きているのでしょうか?
 私たちが生きている時間は「今」しかありません。
今と言っても時間で計測できる範囲はありません。私たちは無時間の瞬間世界を生きているということになります。
今起こした感情や想念が過去に流れていき、それが私たちの未来に現象として現れてきます。私たちの未来は、今の感情、想念で決まるのです。

 私たちは、過去、現在、未来を生きているんじゃなくて、今を生きています。
 念という言葉は、今の心と書きます。心という表現より、念には心の力強さを感じます。念ずるという働きが入っているからですね。
 私たちの今の想念や感情には念ずる力を含んでいます。今の生き生きとした想念や感情ですから。
 この念が私たちの潜在意識に蓄積され、自分の未来を構成していきます。まさに生きているのはこの想念や喜怒哀楽の心なのです。

 私たちが幸せになるには、今の時間がどんなに大切かお分かりになりましたでしょうか。今、暗い想念や怒りといった感情を発していると、間違いなく未来はそれに応じた姿を現します。
 幸せになる最も大切な感情は、感謝の思いであると言われています。幸せな人は感謝の気持ちに満たされています。「ありがとうございます」の言葉で、一切ことごとくすべてに感謝すれば間違いなく人生は明るく幸せになります。

 過去を生きていないといいましたが、私たちは、時に過去を生きているときがあります。それは過ぎ去った出来事を思い出し、その時の感情を忘れずに思い出しているときです。
 思い出すだけならいいのですが、その時の喜怒哀楽を今に持ち越して辛い思いなどを抱えたりしています。持ち越し苦労とも言います。
 「過去はない。過ぎ去った」と割り切らないと、過去の出来事でいつまでも自分を傷つけ、悪しき未来をつくっていきます。

 もう一つ、取り越し苦労というのがあります。今の生きている時間を使って、まだ来てもいない未来を心配する心です。失業したらどうしよう、癌になったらどうしようといった具合にです。
 私たちの人生は幸福、不幸の間を揺れ動いている不確実な人生なんですね。それで取り越し苦労が存在するんでしょうね。
 でもこれも努力して止めねばなりません。わざわざ自分の人生を傷つけ、望まないものを引き付けているからです。

 私たちの人生は、今の思いや感情の連続が織りなして、未来を形づくっているのです。人生は今を生きているだけなのです。これが人生の本質です。
 私たちは本質を知らないから、過去、現在、未来に心をとらわれすぎています。
 生きている本質は、今に存在するのみです。今まで生きてきた人生で必要なのは、自分が生きてきたなかで、自分の間違った生き方に対する反省と懺悔です。今の真摯な心は、過去も変えます。

 私たちは、「今」に立って、過去、現在、未来を支配する力をもっています。過去の自分の間違いを見つめ、何が現在の姿の原因を創っていたのかを知り、今の自分の思い、喜怒哀楽の感情がこの先の自分の人生に現れてくることをよくよく理解することで、これからのあなたの人生は大きく変わってきます。

 今、対立の心をもっていれば、間違いなくこの先の自分の人生では、対立する環境を生きることになります。
 あなたが、今、自分の心を調和で満たしているならば、この先のあなたの人生は、穏やかで円滑な生活に包まれるでしょう。

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