10 今の自分を形づくっている原点をたどる

私たちの今は、生まれながらの自分だからと思わないでください。

今の自分は、人生の流れの中で作って来た一つの表現にすぎないのです。
ですから、今後は別の考え方、生き方で違う自分を表現することが可能です。

そこで、自分の原点を知ることが大切になってきます。

私たちが生きていく上で大切なことの一つが「気づき」です。
私たちは、同じ家に生まれた兄弟といえども、それぞれ別々の異なった生き方をしてきました。
そこにはその人にとって無駄はなく、至妙な意味をもった体験を重ねてきているわけです。

その体験のなかに隠されているというか、埋もれているというか、自分を形づくっている大切な出来事があるはずです。

その出来事に自分の思いが到ることを「気づき」といいます。


例えば、ある50代の男性の方なのですが、人前で話すことが苦手で、その上人づき合いまでも苦手なままその年代まで来られたのです。

これが自分なんだと半分あきらめの思いでいたのですが、それでも何とかできないものかと教室へ来られたのです。

教室へきて数か月経ってから、フト子どもの頃父親から「お前の話し方は中国人みたいだな」と言われた言葉を思い出したのです。

別に中国人の話し方が悪いわけではありませんよ。中国の人が日本語を話せばどうしても独特な言い回しになります。

その男性は父親から言われた言葉で、「そうか、自分の話し方は変なんだ」という思いを心に刻み込んだんですね。
これが話すことへのコンプレックスを形づくったと推察します。

そうした心の働きは、成長していく過程で忘れ去られていきます。しかし思いの種となり、自分を形づくっていきます。

この男性は、こうした思いの種などの働きで、今の自分を表現しているのです。

この思いの種に思いが至ることを「気づき」といいます。
人は、気づきによって今の自分を変えていくことができます。
自分を縛っていた原因がわかることによって解放されていくのです。

いまのあなたは、あなたのすべてではないのです。