1 なぜ私たちは自分を変えることが難しいのか

私たちは、誰でも欠点や苦手を抱え、それを治したい、変えたいと思っています。
それを速やかに変えていく人もあれば、なかなか思うように変えられずコンプレックスを持ち続ける人もいます。

どこにその違いがあるのでしょうか?
その鍵はどうやら自分の否定的信念のとらえ方にありそうです。

誰でも皆、自分に対しての否定的信念をかかえています。
例えば、「私はあがり症だ」「人前で話すとき声や足が震える」「私は○○が苦手だ」といったコンプレックスの部分です。

この自分が抱える否定的信念をどう捉えているかがとても大切です。
この否定的信念が大きければ大きいほど自分を縛りますから、そこから抜け出すのが難しくなります。

話し方教室であがり症を克服するための講座をやっていて気づいたことがあります。
それはほとんどのあがり症の人は、自分の状態を実際以上にひどいと受けとめ、思い込んでいることです。

たとえば、ある女性の方ですが、実習の後に「どうでした?」とお聞きすると、「声も足も震えました」と言って落ち込まれているんですね。

他の生徒さんに聞くと、みなさん「声も足も震えているなんて見えなかった」と言われるんです。
それどころか「落ち着いて話しているようにみえた」という意見も多いのです。
もちろん私にも震えは分かりませんでした。

本人は、自分の声帯や身体の微妙な変化を敏感に感じ取っていますから、その変化を大きく感じるのです。

客観的には0~3位の状態でも、本人は10の状態だと思い込んでいます。

ここです。
この思いこみが「自分はまだ駄目だ」という自覚を継続させてしまうのです。

この自覚は客観的な正しさではないと気づかないと、いつまでたっても自分が変わってはいかないのです。ダメな自分を掴んだままなのですから。

自分を変えていくのに最も大切なのは、「客観的な自分を知る」ことです。

自分が失敗した時、それとなく複数の人に感想を聞くのです。


成功した人の例をお話します。
浦和教室のある女性の方ですが、やはり人前で話すときは緊張して声が震えると悩んでいました。

あるとき、教室で話したとき、自分は声が震えて惨めだと思っていたのに、教室の誰一人として声が震えていたと感じていないことに気づいたのです。

そのあと、自治会で発言を求められたとき、声が震えたのですが、「そうだ、教室の時のように誰にも気づかれていないのだ」と思ったら、急に落ち着きが出て、声の震えも収まった。とご自分の体験を発表されました。

その自覚ですみやかに自分を変えていかれたのです。

自分の否定的信念を客観的に知ることの大切さに気づいてください。